みなさん、電子書籍ってご存知でしょうか。スマートホンとかタブレットで本が読めるというものですね。いま急速に普及が進んでいるもので、私も今や読む本の半分くらいは「電子書籍」になりました。
別に電子書籍という特別な本があるわけではなく、そのほとんどは紙の本と同じものをそのままタブレットで読めるというだけのものです。それなら紙の本でいいじゃないかって言われそうですが、電子書籍は本好きな人ほどハマる魅力があるのです。
それをまとめると、
1.電子書籍は軽いので手が疲れない-端末によりますが、KindlePaperWhiteというものが206g。スマホならそれよりもっと軽いわけで、電車の中でらくらく片手で持ってページめくりできます。ちなみに紙の本だとA5のハードカバーは平均478gだそうです。
2.文字を大きくできるので目が疲れない-電子書籍は一部の例外はありますが文字の大きさを自由に調整できます。目が衰えて普通の本が読めなくなったが、電子書籍のお陰でまた本が読めるようになったという人を知っています。
3.何百冊でも持ち歩ける-出張に行くときは荷物を軽くしたいので、どの本を持ってゆくか悩んだものですが、電子書籍にはその心配はいりません。必要な本はその場でダウンロードできますから、本屋まるごと持って歩くのと同じです。
4.読みたいと思った時に買ってすぐ読める-本屋に行かなくていいし、ネットで注文して届くのを待つ必要もありません。在庫切れもありません。
5.いろんな端末で読める-電車の中では小さなスマホで読んで、続きを家に帰ってから大きなタブレットで読むということも自由自在にできます。
6.暗いところでも読める-お布団の中に入っても読めます。明かりを本にあてることを考えなくていいので、寝っ転がって読むときの便利さといったらもう。
7.安い-同じ紙の本より安いことがほとんどです。
どうです?なんか電子書籍もいいかもって思えてきませんか?
私は紙の本の手触りをこよなく愛する人間ですが、これだけメリットがあると積極的に読みたいのは電子書籍になりますよね。そしてこれを見ると、実は電子書籍は「お年寄りにやさしい」と言う事がわかるかと思います。何しろ、買いに行ったりしなくていいし、文字を大きくできるんですから。
電子書籍の端末持ってない!って方も多いでしょうが、スマホなら結構持ってますよね。スマホで無料のアプリをダウンロードすればそれがそのまま電子書籍の端末になるんですよ。
でも、残念ながら、
浄土真宗の本で電子書籍化されている本というのは極めて極めて少ないのです!!
仏教書で探しても目立つのはスマサラーナ長老の本や、自称仏陀ことエル・カンターレさんの本ばかり。(決してこれらの本を否定するわけではありませんが、少なくとも浄土真宗の本じゃない)
なら、自分で出しませんか?電子書籍。そんなに難しくないですよ。
長年お坊さんやっている人なら、昔施本で小冊子を作ったけど、印刷して配ってその後はどうなっているのか…みたいなものを持っていたりする事もありますよね。その中には埋もれるのがもったいないようないいものもあるはず。もちろん、なにか新しく書いてもいいわけです。これから電子書籍で浄土真宗の教えに出遇ってゆかれる方がきっといるはずです。
最近「さよなら親鸞会 脱会から再び念仏に出遇うまで」という本を出しましたので、それを通じて、大まかではありますが電子書籍の作り方をお教えします。ここではKindleというamazonがやっている電子書籍の最大手サービスでの出版の流れを解説します。他にも電子書籍サービスはいろいろありますが、とりあえずKindleで出すことを頑張ってみましょう。
データの準備と加工
最初に、ワードのデータでもテキストでもなんでもいいので、本にする文章を用意してください。そして、ブラウザ(これを見ているソフトです)から、「でんでんエディター」http://edit.denshochan.com/ を開いてください。
こんな画面が出てきます。右上の「×」のオレンジのボタンを押して内容を消去します。そして、本にする文章を全部コピーしてバンッっと貼り付けてください。
貼り付けたら「H」のボタンで章の見出しを設定(見出しは目次を作るときに重要になりますので必ず設定します)、あと必要なのは、「引用」と「ルビ」くらいでしょう。
「引用」は文頭に半角で「>」をつけます。「ルビ」は単語を選択して「ruby」と書いてあるボタンを押します。「Preview」を押すと見栄えを確認することができます。
完成したら、左上の「Untitled Document」のところにファイル名を入れて(必ず半角英数字で)、その右の青いボタンを押して保存します。ここでは仮に「book.txt」というファイルで保存したということにします。
次は「でんでんコンバーター」http://conv.denshochan.com/ を開きます。ここで電子書籍の標準フォーマットであるEPUB形式のファイルを作るのです。
先ほど作った「book.txt」をアップロードして、タイトルと作成者を入力。ページ送り方向を設定してください。そして、「変換」です。「作成したEPUBをプレビューする」にチェックを入れて、変換後のイメージを確認しましょう。拡張子が「.epub」のファイルが落ちてくると思います。
次は表紙画像を作ります。これは持っている適当な画像作成ソフトを開いて作ってください(写真はFireWorks)。
注意するべき点は、画像の長辺(この場合は縦幅)が1000ピクセル以上であること、フォーマットはJPEG、そして、ファイル名は半角英数字であること。
ファイル名については、ここでは素直に「cover.jpg」としておけばいいと思います。
Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシングへの登録
さて、必要なデータが揃いました。いよいよamazonに本のデータを登録します。amazonのアカウントがない人は作ってください。
https://kdp.amazon.co.jp/ にアクセス。Amazonアカウントを使用してサインインして、「新しいタイトルを追加」を選択、必要事項を記入してゆきましょう。
必要事項を記入し、カバー写真とepubファイルをアップロードするのですが、右カラムに「よくある質問」もあり、入力に不備があればシステムが教えてくれるので、基本的にあまり迷うところは無いと思います。いくつか上げるならば、
・KDPセレクトに登録するべきかどうか-90日以内に他の電子書籍ストアなどで販売する予定がなければ登録すべきでしょう。
・縦書でepubを作っている場合ページめくり方向で再度縦書を選択するのか?-そうです。
・デジタル著作権管理はどうするか?-適用するにしておきましょう。
・出版地域は?-全世界でいいでしょう。
・価格はどうしたらいいのか?-余程の大作でなければ、100円~200円程度にするのが無難です。300円以上ですと条件が揃えば70%の印税がもらえたりするオプションもあるのですが、みんなに読んでもらうことを優先させたほうがいいように思います。
epubファイルと画像をアップロードすると、「シンプルプレビューツール」でちゃんと本がオーサリングできているか確認することができます。 これは必ずやっておきましょう。
少し面倒というかよくわからないのが、「米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書W-8BENの提出」というものです。これはAmazonがアメリカの会社なので、アメリカで税金を払わず日本で払いますよという申告なのですけど、Amazonのガイダンスに従って必要事項を記入し「続行」ボタンを押していれば終わります。
これが終わって、いよいよ出版です。審査のために最大48時間かかると出ますが実際はもっと早く出版されます。
自分の書いた本がAmazonで買えるようになるというのは結構感慨深いです。本を出すのは知名度かお金が必要ですし、余程のいい本でなければ継続して書店に置かれるということもありません。電子出版ならいつまでもコストを掛けずにみんなが手に取れる位置に書籍を販売することができます。ありがたいです。
さて、気になるのが「どのくらい売れるのか」ということ。
私が出版したのは「さよなら親鸞会 脱会から再び念仏に出遇うまで」という本です。これは実際に書籍化されている本で、今までに約3000部程が売れているものです。出版当初はかなり売れて仏教書のランキングで1位になったりもしましたが、現在は一日数冊がコンスタントに売れている状況です。
儲かるというところまではいきませんが、継続的にきちんと宣伝をしてゆけば、少量であってもしっかりと売れてゆくものなのだろうと思います。
電子出版のこと、わかっていただけましたか?やり方を書いてきましたが、そんなに難しく無いとは言いながら、誰にでもできるというものでもありませんね。
ここからは宣伝ですが、私は仏教書の電子書籍の発行を専門に行う出版組織を立ち上げることになりました。皆さんの手元に電子出版にできる原稿はありませんか?録音でも構いません。良ければ教えて下さい。しっかり本にして、宣伝して販売をさせていただきます。原稿をデータ頂けるのならば、出版費用の自己負担も必要ありません。
電子メール uryu(あっと)genshoji.net か、あるいは私のフェイスブックページまでご連絡ください。
これから、若い人からお年寄りまで、電子書籍から浄土真宗に出遇ってゆくという人も出てくるでしょう。入り口は多くあったほうがいいと思います。ぜひともご協力をいただければと思います。よろしくお願いします。