ベテルギウスの光 【蕚 慶典】

orion冬の夜空をいろどる代表的な星座のオリオン座。日本ではその姿が「鼓星」といわれ、航海の目印になってきました。オリオンのベルトのあたる三連の星は、宗像三神や住吉三神であるともいわれて、月星の天体の運行と地上の生活が密接であった時代を知らせてくれます。
星の神話では、狩人オリオンは月の女神アルテミウスの想い人であったが、双子の太陽神・アポロンがそれをよく思わず、ある日海で泳ぐオリオンを海獣と偽って、弓の名手であるアルテミウスに射殺させてしまう。事実を知ったアルテミウスは悲しみに沈み月が見えなくなったのです。
父神ゼウスがこれを憐れみ、オリオンを天上に召してアルテミウス=月の通り道におき、二人が並んで夜空を運行するようにしたのだといわれます。
ところで、そのオリオンの右肩にあたる星、おおいぬ座のシリウスとこいぬ座のプロキオンで「冬の大三角」を構成するベテルギウスは、ひょっとしたらもう消滅しているかもしれない星なのです。実際地球上で、星の臨終=超新星爆発の光が観測された時には、本体は500光年から800光年かなたですから、その500年~800年前に消滅していることになります。
星でさえ無常の理の外ではないと、ベテルギウスの光が教えます。この宇宙の中で唯一変わらないものは、アミダー無限と名乗られて、はたらき続けられる如来さまの「本願力廻向」一つでありました。

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