星とたんぽぽ 【藤堂 尚夫】

星とたんぽぽ

春のくるまでかくれてる、tanpopo

つよいその根は眼にみえぬ。

見えぬけれどもあるんだよ、

見えぬものでもあるんだよ。

この詩「星とたんぽぽ」の作者である金子みすゞさんは、「若き童謡詩人の巨星」と言われながら二十六歳でこの世を去った薄幸の人でした。しかし、その優れた感性は、通常では見えないところにまで及んでいます。

私たちの命は、実に多くの人やものによって支えられています。しかし、そのことを私たちは、いつも意識してるわけではありません。では、私たちは自分の命を支える根について、忘れたままでいいのでしょうか。

みすゞさんに深い理解を示しておられる矢崎節夫さんは稲の根について書いています。(『金子みすずこころの宇宙』)それによれば、八十センチほどにのびた稲は三十メートルもの根を張るのだそうです。そして稲の根は地面の中で様々なものに出合い、その出合いを糧として稲が育っていったと矢崎さんは言います。

私たちも多くの出会いを糧として、地面の中にしっかりと命の根を張っていきたいものです。

阿弥陀様のお働きは、直接目にできるものではありませんが、「見えぬけれどもあるんだよ/見えぬものでもあるんだよ」というとき、私たちは、阿弥陀様のお働きの実在を信じることができるのですね。

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