お寺にお参りください! 【平井 裕善】

ochoumonn 「どうぞ、お寺にお参りください」

とお誘いしても、お寺にご縁の無い方にはわかりにくかもしれません。もう少し具体的に
 「お寺にお参りして、◯◯しましょう!」
とお誘いする方がわかりやすいですよね。では、この◯◯に何を入れましょう?

 「お寺に参って、仏に成りましょう!」
とお誘いするのが正解のような気がしますが、ちょっと壮大すぎますね。初めて聞く人なら引いてしまわれるでしょう。

浄土真宗のお寺は「お念仏のみ教えを伝える」ための道場です。読経も、本堂のお飾りもすべてそのためです。その中で聞くお話が「法話」です。
法話は仏さまの話です。仏様のお話を聞くと、「心あたたまる、深い話で、癒やされるんですよね!」と思われる方がおられることでしょう。心あたたまる話もたくさんありますが、なかには自分の身の浅ましさ、醜さ、愚かさを突きつけられ、思わず息が止まるような思いをする話もあります。そういった自分の身のどうしようもない愚かさと同時に、それを目当てとして救う阿弥陀さまの「お心」や「おはたらき」、そしてそういった事すべてが南無阿弥陀仏のお念仏としてこの私の身に届いていることをお聞かせいただくのです。それを【聴聞(ちょうもん)】といいます。

浄土真宗ではその聴聞こそが大切なことですから、
「お寺にお参りして、お聴聞しましょう!」
というお誘いが良いかなぁと思います。さらに「南無阿弥陀仏」とお念仏を申すことも強調したいことです。ですので、
「お寺にお参りして、お聴聞され、『南無阿弥陀仏』と申しましょう!」
という誘い文句はいかがでしょう。ちょっと長すぎるでしょうか。それなら、
「お寺に参って、お念仏しましょう」
とする方がすっきりします。

確かに「なんまんだぶ」のお念仏は、どこでも、いつでもできます。私の所へ「なんまんだぶ」と声の仏さまになって届き、はたらいてくださっているのですから。
一人でお念仏することもできます。しかし、お寺にお参りいただき、荘厳な雰囲気の中でおつとめをし、お念仏のいわれのお話を聞いて「なんまんだぶ」とお念仏することのよろこびを共に味わいたいのです。日常の生活の中では「なんまんだぶ」となかなか口に出すことができない人にこそ、そういう雰囲気の中でお念仏することをお誘いしたいのです。

そんなことを思いながら、しばらくの間のお誘いの文句は、
「お寺に参って、お念仏しましょう!」
でいきたいと思っているのです。なんまんだぶつ。

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